- 企業主導型保育園って、なんだか怖い…
- そもそも、認可保育園との違いはなに?
- 企業主導型保育園での事故や怪我のニュースが多い気がして、不安がある
企業主導型保育園でのトラブルをSNSで目にしたり、ニュースで報道されたりすると怖さや不安を感じますよね。
大切なわが子を預ける場所だからこそ、不安になるのは当然です。
たしかに、「企業主導型って大丈夫なの?」といった声を聞くと、せっかく見学して気に入った園でも「やっぱりやめた方がいいのかな…」と悩んでしまいます。
実際に、「もっと調べておけばよかった…」と後悔している保護者もゼロではありません。
でも、すべての企業主導型保育園が危ないわけではありません。
正しい違いや特徴を知っておくことで、安心して選べる園もたくさんありますよ。
ただし、すべての園が同じではないため、ポイントを押さえずに選んでしまうと「思っていたのと違った…」というミスマッチが起こることも。
正しい情報を知って、自分の家庭に合った園を選ぶことが大切です。
本文を最後まで読んで「なぜ企業主導型保育園を怖いと感じるのか?」を整理しながら、後悔しない保育園を選びましょう!
企業主導型保育園とは
- 認可外保育園に分類される
- 企業が従業員の子どもを預かることのできる保育園
- 比較的入園しやすい
- 企業主導型保育園と認可保育園の違い
認可外保育園に分類される
保育園の種類には大きく分けて「認可保育園」と「認可外保育園」があり、企業主導型保育園は認可外保育園に分類されます。
- 認可外保育園とは
-
認可保育園とは違い内閣府の制度で運営され、保育内容や設備の基準は園によって差がある。
たとえば、このような違いがあります。
内容 | 認可保育園 | 認可外保育園 |
---|---|---|
園庭 | 義務付けられている | 義務付けられていない |
定員 | 多人数(60〜100人超えの園も) | 少人数(定員19名以下なども多い) |
保育料 | 所得に応じて自治体が決定 | 園ごとに設定(企業提携で割引もあり) |
「認可外」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、企業主導型保育園は「国からの助成金」によって運営されるので、安心感もありますよ。
企業が従業員の子どもを預かることのできる保育園
企業主導型保育園は、企業が従業員の子どもを優先的に預かることができます。
従業員の仕事と育児の両立をサポートする目的で、政府の「企業主導型保育事業」に基づき作られたからです。
- 職場の近くに園があり出勤前に預けてそのまま通勤
- 柔軟な受け入れ体制が整っている
- 福利厚生で保育料が安くなることもある
職場と連携しているからこそ、働く親にとって使いやすく、心強い存在です。
比較的入園しやすい
保活をしていると、保育園の空きがなく「選考に落ちると分かったうえで入園申請する」なんてこともありますよね。
このように途方に暮れる方も多いのではないでしょうか?
- 入園できず、育休明けの仕事復帰の目途がたたない…
- 何度も育休延長して、職場に申し訳ない・気まずい
しかし、企業主導型保育園は、認可保育園に比べて入りやすい傾向があります。
- 企業主導型保育園が設置された背景に「待機児童問題の解消」と、「共働き世帯への保育支援」がある
- 企業枠・地域枠という仕組みにより、定員にゆとりのある園が多い
たとえば「認可園は何園申し込んでも入れなかったけれど、企業主導型ならすぐに受け入れてもらえた」という保護者の声も珍しくありません。
このように、保活が思うように進まないときの選択肢として、有力な候補になるのが企業主導型保育園です。
企業主導型保育園と認可保育園の違い
初めて”企業主導型保育園”と聞くと、なんだか堅苦しい感じがしますよね。
しかし、実際は認可保育園よりも身近で柔軟な保育園です。
以下の表に、認可保育園と企業主導型保育園の違いを簡単にまとめました!
項目 | 認可保育園 | 企業主導型保育園 |
---|---|---|
設置基準 | 国の基準に基づく | 内閣府が所轄 保育内容や設備の基準は 園ごとに差がある |
保育料 | 所得に応じて決定 各家庭で差がある | 園ごとに設定されている 職場と園が企業提携することで安くなる場合もある |
入園のしやすさ | 自治体への申請が必要 地域により競争率が高い | 保育園に直接申し込みする 企業枠・地域枠という仕組みで待機児童になりにくい |
利用対象 | 住んでいる地域で制限あり | 会社の従業員や地域住民が対象・従業員の子どもが優先される |
開園時間 | 7:00〜19:00 標準保育/短時間保育など、 就労条件等により変わる | 7:00~20:00 園と利用者の直接契約のため、柔軟に対応している園も多い |
”企業主導型保育園”という名前にとらわれず、実際の園の中身を知ることが大切ですね。
企業主導型保育園が怖い理由や問題点・デメリット(体験談も解説)
「企業主導型保育園ってちょっと怖い…」そんな不安を感じていませんか?
実際に働いてみると、このようなことに怖さを感じます。
- マニュアルが整っていない
- 人員体制が整っていない
- 園によって保育の質にバラつきがある
- 保育事故が多いイメージがある
今回は、看護師目線でリアルな体験をお伝えしますね!
マニュアルが整っていない
認可型保育園であれば、保育実績が多数あるのでマニュアルが整っていることが一般的です。
しかし、企業主導型保育事業は2016年にできたもので、各企業型保育園の歴史が浅く、マニュアルが整っていないことが多いです。
マニュアルが整っていないと、保育士ごとに対応がバラバラになり、園児や保護者に対して不適切な対応につながることがあります。
場面 | 認可保育園(マニュアルが整っている) | 企業主導型保育園(マニュアルが整っていない) |
---|---|---|
園児の発熱時 | 職員がマニュアルに沿って体温や症状を記録し、決まった基準で保護者へ連絡。 | 職員によって対応に差が出る。連絡するタイミングや判断がバラバラで、様子見されて症状が悪化することも。 |
ケガの応急処置 | ケガの程度ごとの対応マニュアルがあり、消毒や受診の要否も職員間で共有済み。 | 処置の判断基準が職員任せ。対応に迷ったり、処置が遅れるケースもある。 |
避難訓練や災害時 | 毎月の訓練マニュアルがあり、職員全員が動き方を把握。 災害時の連絡方法も保護者へ周知している。 | 訓練が形だけで実施されていたり、動きが曖昧で実際の災害時に対応が遅れることも。 |
対応の遅れやバラつきは、子どもの安全を脅かすだけでなく、保護者との信頼を損なう結果になりかねません。
保育士個人の経験や判断だけに頼るのではなく、明確な「対応マニュアル」が必要だということがよく分かりますね。
人員体制が整っていない
人員体制が整っていないと「園児がなにをやっているのか」の目が行き通らず、園児が安全に過ごせず、また適切な学びが得られないことになります。
具体例 | 認可保育園(人員が整っている) | 企業主導型保育園(人員不足) |
---|---|---|
お外遊び | 園児一人ひとりの動きを見守れる。 危険な遊具や園児同士のケンカにもすぐに気づける | 園児全体をざっくり見るしかない。集団から離れた場所で遊ぶ子に気づけないことも |
食事・アレルギー対応 | 担当職員が細かくチェック。 誤食がないよう複数人で確認し、声掛けも徹底 | アレルギー対応は1人の職員に任せがち。忙しさから確認が不十分になることも |
お昼寝中の見守り | 園児の呼吸チェックや体位など、複数職員で交代し丁寧にチェック。複数人の目で異変にすぐ気づきやすい | 見守る職員が少なく、チェックが抜けたり異変への気づきが遅れる可能性がある |
保育事故や運営トラブルの多いイメージがある
「明日からこの園は休園します」
子どもを預ける園から突然こんなことを言われたら、冗談がきついなと思いますよね。
しかし、これは実際に2024年8月に愛知県清須市の企業主導型保育施設「清須こころ保育園」で起きたトラブルなんです。
このトラブルの背景には設置会社と運営会社間の金銭トラブルがあったと報道され、「子どもの預け先がなくなり、仕事にも行けない」といった家庭も多くありました。
このようなニュースを見ると「企業主導型って大丈夫?」と不安になるのは当然です。
でも、すべての園がそうではありません。
自治体と連携し、安定運営されている企業主導型保育園もたくさんあります。
見学の際は、以下の点も確認しておくと安心です。
- 園の運営会社の実績(保育園以外にどのような事業を運営している?)
- 職員の対応に不信感はないか(質問に対し、言葉を濁す回答が多いときは要注意)
- 運営会社が過去に起こしたトラブルはないか
企業主導型保育園の良かったと言われるメリット
実際に働いて、在園児や卒園児の保護者から寄せられた声(メリット)には、以下のようなものがあります。
- 柔軟な預かり時間
- 少人数制だからこその手厚い保育
- 病児病後児保育がある
私の子どもは認可保育園を利用しているので、働く親としての実体験をもとに、具体的な違いをお伝えします。
柔軟な預かり時間
企業主導型保育園は、家庭の状況に合わせて預かり時間の調整がしやすいというメリットがあります。
自治体が定める標準保育・短時間保育といったルールがないため、園と相談しながら柔軟な対応が可能だからです。
私は2人目の出産後に、長男の認可保育園が短時間保育に切り替わり、夫の送迎が難しくなってしまいました。
その結果、産後すぐにすべての送迎を私が担うことに…。
首の座らない赤ちゃんを抱え、走り回る長男(当時2歳)を安全に送迎するのはかなりのハードワークでした。
企業主導型保育園なら、こうした制度上の縛りがゆるやかなので、「上の子の送りはパパが担当」といった対応もできたと思います。
家庭によっては、親の勤務時間が不規則だったり、祖父母のサポートがない場合でも、預かり時間を柔軟に調整できるのは大きな安心材料です。
家族のカタチは人それぞれ。企業主導型保育園なら、その多様なライフスタイルに寄り添った保育が可能です。
祝日や年末年始に書き入れ時の職業の保護者にとっても、子どもの預け先があることは大きな安心材料になりますよね!
少人数制だからこそ、手厚い保育が受けられる
「園児数の多い認可保育園で、うちの子はしっかり見てもらえるのかな?」と不安に感じることはありませんか?
少人数制の企業主導型保育園では、園児一人ひとりに目が行き届きやすく、個々の園児に時間をかけて関われるので、手厚い保育が受けられます。
場面 | 少人数の企業主導型保育園 | 多人数の認可保育園 |
---|---|---|
登園・降園時のやりとり | 保育士が子どもとしっかり目を合わせて挨拶・会話できる。保護者ともゆとりを持って連携しやすい。 | 時間によっては混雑しやすく、一人ひとりとの対応時間が限られがち。保護者との連携も慌ただしくなることも。 |
制作活動(工作・お絵描き) | 保育士が席を回りながら個別に声をかけたり、アイデアを引き出したりできる。子どもの発想がのびのび表現されやすい。 | 材料配布や片付けなどで手が回りにくく、一斉指示が中心に。個々へのフォローが難しくなりがち。 |
お着替えのサポート | 子どもが苦手な部分(ボタン・裏返しなど)も、ゆっくり付き添って練習できる。保育士も子どもも焦らず取り組める。 | 保育士が手一杯になりやすく、自分でできる子を優先することも。苦手な部分を丁寧にサポートしづらい。 |
初めての集団生活に不安がある子にも、じっくり関わって安心させてあげることができたり、家庭との連携を密に取って成長を一緒に見守れたりするので、保護者も安心して預けることができますね。
このように、少人数という特徴は、子ども一人ひとりの個性やペースを大切にできる保育につながります。
病児・病後児保育がある
保育園に預けると子どもは体調を崩しやすくなります。発熱や下痢、咳などが続くと、何日も仕事を休まなければならず、働く保護者にとっては本当に大変ですよね。
そんなときに頼りになるのが「病児・病後児保育」の仕組みです!
場面 | 病児・病後児保育【なし】 | 病児・病後児保育【あり】 |
---|---|---|
子どもが発熱したけど、大事なプレゼンがあって休めない | 仕事を休まざるを得ない。 代わりの人がいなければ会議を欠席することに… | 病院受診をすれば病児保育に切り替えて預かってくれるので、安心して出勤できる。 |
昨日熱が出たが、今日は元気。だけど「解熱後24時間経過しないと登園NG」の決まりがある。 | 子どもは元気でも登園できない。看病というよりも子守り状態で仕事に集中できない。 | 病後児保育で対応可能。元気な子を家で看る必要がなくなり、出勤できる。 |
軽い体調不良(咳・鼻水)が続いている | 軽い不調でも普段と違う様子が見られたら呼び出されることが多く、仕事の調整が必要になる。 | 病児対応で預かってくれるため長期欠席になりにくく、子どもも個室で無理なく過ごせる。 |
病児・病後児保育に対応している企業主導型保育園は、子育てと仕事を両立したい保護者にとって大きな味方であることが分かりますよね。
病児・病後児保育は在園児以外の方も利用できるので、認可保育園に預けている保護者にとっても頼れる存在ですよ。
企業主導型保育園が向いている人・向いていない人
見学に行く前に、そもそも企業主導型保育園が向いているのかどうか気になりますよね。
企業主導型保育園の特徴と向き・不向きについて比較して見てみましょう。
特徴/向き不向き | 向いている人 | 向いていない人 |
---|---|---|
預かり時間の柔軟さ | 柔軟な保育を求める人 | 決まった時間の方が安心な人 |
人数規模 | 少人数で手厚く見てほしい人 | にぎやかさや交流を重視する人 |
病児・病後児保育 | 急な発熱でも仕事を休めない人 | 体調不良時は休ませてあげたい人 |
行事の多さ | 行事より日常保育を重視したい人 | 保護者参加型の行事が好きな人 |
園庭の広さ | 園庭がなくても気にならない人 | 園庭で伸び伸び遊んでほしい人 |
預かり時間・人数規模・病児・病後児保育については前述しているので、ひとつ前の「企業主導型保育園の良かったと言われるメリット」を参照してくださいね。
保護者参加型の行事が多い園を希望する人には不向き
年間を通じて行事や親の出番を大切にしたい人には、企業主導型保育園は少し物足りないかもしれません。
企業主導型保育園は、行事よりも「日々の保育の充実」を重視している園が多いからです。
地域の夏祭りや発表会など、大掛かりなイベントは実施しない園もあります。保護者参加が少ない分、忙しい家庭には助かる反面「思い出を一緒に作りたい」と思う方には物足りない印象を持たれることも…。
行事重視の方は、行事が多い認可保育園の方が希望に合うかもしれませんね。
園庭で伸び伸び遊ばせてあげたい人には不向き
企業主導型保育園は、商業施設やビル一室にあるなど園庭がないことも多く、外遊びを重視する人にとっては不安に感じますよね。
「外遊びが大好きだから園庭が広い園がいい」と思うのは自然なこと。
でも、園庭がない=外遊びできないとは限りません。
私の勤める園はビルの中にあり、園庭がありません。
しかし、近隣に複数の公園があり、天気の良い日は毎日お散歩に行きます。
子どもたちは思いきり体を動かしながら、季節の自然に触れたり、地域の方とふれあったりと、園庭では得られない経験もたくさんしています。
保護者からは「どんどん体力がついてきました!」と成長を喜んでもらえたこともありますよ。
外遊びが心配な方は、園見学のときに「普段どこで遊んでいますか?」と聞いてみてくださいね。
良い企業主導型保育園を見極める方法
企業主導型保育園を見学する際、具体的にどんなところを見たらいいの?と思いますよね。
認可外である企業主導型保育園は、園によって体制がさまざま。だからこそ、見学や質問でしっかり確かめることが大切です。
- 見学時の対応
- 保育室の様子
- 衛生面、安全面への配慮
- マニュアルが整っているか
- 職員の雰囲気
このポイントを表にしてまとめたので、ぜひ見学の際に参考にしてくださいね。
チェック ポイント | 良い企業主導型保育園の特徴 | 注意が必要な企業主導型保育園の特徴 |
---|---|---|
見学時の対応 | 園長、職員が丁寧に対応し、質問にも親身に答えてくれる | 忙しそうにしていて対応が雑 質問もしづらい雰囲気 |
保育室の様子 | 園児が落ち着いて活動しており、保育士との関わりも穏やか | 園児が放置気味、職員の声かけや関わりが少ない |
衛生・安全面 | 手洗い場やトイレが清潔に 保たれている 事故対策等の掲示物がある | 雑然としていたり、危険な場所への配慮が足りない |
マニュアルの整備 | 緊急時の対応や体調不良時の対応が明確に定められており、きちんと説明してくれる | 「その時の判断による」と曖昧な返答が多い |
職員の雰囲気 | 挨拶や笑顔があり、職員同士で声を掛け合っている | 職員同士の会話が少なく、 ピリピリした雰囲気がある |
「どこも似たようなもの」と思わず、しっかり見て聞いて自分の目で確かめることが、安心して預けられる園を見つける近道です。
よくある質問
- 企業主導型保育園の保育料は安いですか?
- 「企業主導型保育園は怖い」と思ったら、どうすればよいですか?
- 0~2歳までの企業主導型保育園が多いけど、卒園後はまた保活をするのですか?
まとめ
企業主導型保育園は、認可保育園と比べて設置基準や運営体制に差があり、不安の声をよく耳にします。
一方で、柔軟な対応や少人数保育などのメリットも多くあります。
保活で遠回りをしないためにも、園ごとの実態を見学や質問を通してしっかり確認することが大切です。
この記事を繰り返し読んで、大切なお子さんが楽しく安全に過ごせる保育園を、納得して選べるといいですね!
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